塩見周子の徒然日記

自分のことを塩見周子と思い込んでいるオタクです

その日の獣には、 瑠奈√

おはようございます。昨日でその日の獣には、瑠奈ルートが終わったので感想を書きます。

<多大なネタバレを含みます>





とりあえず共通ルートを覚えている限りで振り返る


慣習的に上級生しか出られない夏の大会に何とかしてチャレンジしたいと願う主人公と、その妹瑠奈。個人的には、瑠奈がこの大会に出たいと思うモチベーションはまあ納得できるにしても、演劇に関してそれほど(中学生時代しか)経験を積んでいない主人公がよく分からん。瑠奈のためを思ってなのかなのかちょっと微妙なところで、ここがやや引っかかりました。


さて、それでチームのメンバーとして集まったのは幼馴染の舞雪と同級生の祈莉の二人でした。二人とも演劇に関しては素人で、四人の練習になると、どうしても瑠奈とほかの三人との意識の違いが露呈してしまいます。そのせいで瑠奈はヒステリックに怒り散らかします。ここの描写、正直見ている側がしんどかった。自分が部活に対してそれほど熱心ではなかったためなのか、ここまで熱くなってしまう人の心理に共感することは難しくて、単純に瑠奈が情緒不安定な人間にしか見えなくてつらかったです。


舞雪は学校の亡霊から力を授かり、選考会に参加する前段階の選考でその力を発揮します。審査に加わった講師、顧問、その他先輩から舞雪ばかりが言及され、瑠奈はそのことに苛立ちます。その後、結局亡霊の力を失ってしまった舞雪は二度と素晴らしい演技は出来なくなり、主人公もそれを気遣って自分の書いた台本の舞雪のセリフを直したりしますが力及ばず。主人公の事を見ているのがつらくなり、また自分も部活をやめたいと思った舞雪は主人公を籠絡し、ともに部活をやめようと誘います。ここで身体の関係を持ってしまいます。


さて、結局部活をやめるには至らなかった二人ですが、瑠奈と三人との溝は深まるばかり。瑠奈もチームを抜けようとしますが、祈莉が持ってきた謎の台本により、再びチームは一致団結します。ここまでが共通ルートだったはず(前後関係があやふや)




ここから、新しい台本「ソノヒノケモノニハ、」の主人公を誰にするかを決めるところで選択肢が発生します。最初に出てくる選択肢は瑠奈と舞雪の二択なのですが、今回は瑠奈を選択。

瑠奈は学校の亡霊「クロガネ」に出会い、どんな人の心も魅了することができる力を授かるチャンスを与えられますが、「自分の望みは実力でつかみ取る」と言います。しかし、クロガネの指摘通り、自分にそれほど実力がないことも理解しています。練習が再び始まりますが、また瑠奈は自分の熱意を抑えきれず三人に当たる始末。主人公はうまく立ち回ろうとしますが、舞雪の味方ばかりする主人公に対し、自分へ向けられない好意に瑠奈はいら立ちを覚え、また溝は深まろうとします。


主人公にちゃんと評価されたい、その気持ちのために、瑠奈は再びクロガネに会い、過去よりも未来の方が大事であると言ってのけ、兄との幼いころの思い出と引き換えに優れた女優としての力を授かります。


(ここで主人公が自室で寝ている妹を見て、代わりに床で寝るシーンが入るのですが、起きたときに目に映る瑠奈のイラストや言動が幼さを感じさせる(かわいらしい)ものに変わっていて、これも変化の一つなのかなと感じました)



さて、誰をも魅了する力を手に入れた瑠奈ですが、自分からは兄との記憶が失われていないこと、代わりに兄からは自分の幼いころの記憶が消えていることに気づきます。周りの人間から死ぬほど注目を浴びていい感じになる瑠奈、満たされない心が満たされたためか、練習する周りの三人の自分に対する賛美の目もあり、その言動はヒステリックなものからは落ち着いたものへと変化します。


しかし、なにか欠けていると感じるものがあります。それはやはり、自分が演劇をやろうとするモチベーション、つまり「幼い日の兄との思い出」でした。兄がいくら今の自分を評価してくれたって、その兄は小さなころの自分との思い出がありません。その大きな礎を失い、兄ですら自分の魅力の虜になってしまった今では、もはや兄を自分の力で(これは魅力の力を借りずに)自分のモノにするしかないと思います。兄に対する恋心もあり、ここで肉体的な接触を持ちます。


兄と恋人になりましたがまだ満たされない瑠奈(それはそうだろ)。体を重ねても、愛の言葉をささやかれても、その気持ちに蓋をすることはできません(こうなることは分かっていたのに、と後悔するシーンがありましたが、それ「分かってない」ってことですよって猛烈にツッコミを入れました。ここの後悔するシーンは全く感情移入ができなかったです)。自分が本当に欲しかったものよりも、自分が欲しいと思うものに対する原動力があるだけで「十分だったのに」と気づいた瑠奈は、クロガネに力を返却するから思い出を返してくれとせがみます。


ぶっちゃけそんなうまくいかんやろと(僕は)思っていました。ところがこのクロガネさん、素直に返してくれるんですよ。力を奪い去って記憶は返さない的な「ヒール」の動きを期待していただけに拍子抜けしました。この人にとっても自分の望みの方が大切で他人がどうなろうと関係ないと思っているなら別に返さなくてもよくないか?みたいな気持ちがありましたがそうはならなかったです。この後のルートでその行為に何か一貫した理由があるのかどうか明らかになるかは定かではないですが多分ないと思います。これはクロガネが純粋にいい人であるということでしょうか。じゃあしゃべり方をもうちょっといい人の方に寄せていってもよかったんじゃないかな......。


そして記憶を返してもらった主人公と、自分の本当に大切なものに気づいた瑠奈との関係は恋人のまま維持されます。瑠奈の気性もだいぶ落ち着き、ほかの二人に対する努力に理解を示すようにもなります。選考会の日を迎え、結局落選となってしまいますが、瑠奈は先輩たちのチームに加わって練習することが許されます。主人公も、自分よりも先を歩く妹に追いつこうと努力する決意を固めました。そして夜、自分の心を開いた妹とエッチします。いぇーい。


これで終わりです。






よかった点
①「じゅうぶんな、はずだった」のメッセージは一貫していた 「虚構の中で、一粒の真実を物語ること。それが、感動を生み出していく」というセリフがあったけどまあこれとも整合性があってよい(感動したかは別問題として)瑠奈が物語の流れで「足るを知る」を会得していくのはこの物語の運び方として間違っていないのでその点はよい
②マジでイラストがエロい


悪かった点
①瑠奈がマジで情緒不安定すぎて見ていられなかった ほんとにしんどい
②物語の展開がチープ、速いと感じる点がいくつかあった(祈莉の台本が何かしらの力を秘めているのはわかるけどちょっと無理やり感のある運び方は気になった。あと瑠奈が自分のしでかした愚行さに気づくのはいいんだけど、最初に自分の望みは自分の力で手に入れる的なまあまあかっこいいことを言っている人間が爆速で鞍替えしている様をみてこれでいいのかという気持ちになった。というか聡明そうだからこうなるってわかっているならやらなさそうなんだけどなあ)
③主人公が記憶喪失になる描写は、見ているこっちは物語の全容を把握している神視点なので、突然主人公が記憶を失うと一気に物語の没入感が薄れる(これはあくまで僕個人的にあまり好きではない描写であるというだけで、気にしない人は気にしないのかもしれん)


エロの描写は最高だったのでシナリオがもうちょっと納得できるものであったらなあという気持ちになりました うーむ




minoriさん定番のラストの英語のちょっとイイ感じの一行は
'...and now, the light of glory shines on you and me.'
でした これ瑠奈目線っぽいですね